株式会社から屋が目指すもの
近年、全館空調システムを採用する住宅が増えてきましたが、中にはライフサイクルコストを加味すると省エネとは逆行すると思われる空調システムが見受けられます。
私たちは、空調の省エネ研究や開発を手掛けてきていますので維持メンテナンス費や修繕費及び機器更新費が膨大になりそうなシステムに出会うと「その空調はユーザーにとって本当に快適で省エネなのだろうか?」とつい考えがちになります。
法律で設置が義務化されている24時間換気についても、実際に現場調査を行うと、換気量不足や、真夏に換気がされていないもの、給気口から逆流して排気されているもの、最上階の絶対湿度が高まり結露するもの、全熱交換換気に至っては換気性能維持に必要な熱交換素子の洗浄や保守点検が事実上不可能なものが見受けられます。
空調にしても換気にしても、相手が透明な空気なので不具合の原因発見は容易ではないと思われますが、流体解析ソフトや空気を視覚化する機器によって原因の推定が可能です。
私たちは住宅業界35年以上の経験をもとに、換気計画の不良で起こりえるこのような不具合事例を教訓に、省エネ性と快適性の両面から木造住宅の居室に最もふさわしい換気方法は排気作用ではなく「給気作用」を利用することが、結果的にライフサイクルコストを小さくでき、他の換気方法よりも不具合発生が極端に少なくなることを突き止め、給気作用の利用として第2種換気を実践しています。
私たちが採用している第2種換気は、2000年に公的機関との共同研究で構築した技術になり、内外圧力差が第1種換気と同等の圧力バランスを達成したもので、適切な気密施工と適切な設計及び適切な保守点検の実施を条件に、安全性と省エネ性を持続できることが証明されています。また、黄砂やPM2.5の汚染外気をはじめ、清潔な空間を維持したい場合や、昨今のコロナ対策としても優れた効果を示す換気手法でもあります。
このような取り組みをもとに、令和3年に第2種換気とパッシブ換気の良いとこ取りした「ハイブリッド換気装置」の開発により第1種熱交換型換気と同等の省エネ性能を達成しました。令和4年の春には住宅内部の伝導熱と地熱を利用する最新テクノロジー「DI技術」を利用した「温冷熱回収型の第2種換気」も確立できそれぞれ商品化しています。
このように長期的に快適で省エネな暮らしを提供できる様々なシステム構築のため、最新テクノロジー投入とあわせて公的機関との研究開発や現場からフィードバックされる様々なノウハウをブラッシュアップし「現状よりも更なる進化!」を私どもは目指しています。
全国のビルダー皆様から「頼られる技術コンシェルジュ」として親しまれるよう、エンドユーザーのメリットを常に考え業務サービスを提供し続けることが私たちに課せられた役割であり存在意義であると自覚し、今後も飽くなき技術開発を続けてまいります。